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FORUM No.02 (2006.8.28)

望月久美子
「住生活1000人調査 2006」──住宅像の現在

LECTURE03

50代の住意識──分離する男女の住まい像

第2部では「住生活1000人調査」で50代以上だけをピックアップして、どのような住宅志向があるのか聞きました。2007年に団塊世代が大量に定年を迎え、彼らのライフスタイルが変わることで住宅に対するニーズもさまざまなカタチで顕在化してくるのではないか、そういうマーケットが出てくるのではないかと考えたわけです。そのため彼らの今後の暮らし方や住宅の志向を取り出しました。
合計約400名が対象で、男性が7割、女性が3割です。50代ですからまだまだ夫婦二人ばかりではなく、ファミリーの方が多くて子供がいます。50代の方々の今後5年間の住宅計画はやはりリフォーム、建て替えがトップになります。その次に購入する方が約10%いて、わずかですが賃貸で住み替えを考える人もいますが、圧倒的にまずリフォームを考え、次に購入という流れです。そういうプロポーションを理解したうえで、50代の購入計画を別の形で分析してみました。この際どのような切り口にしようかと考えたときライフステージもあると思ったのですが、男性と女性の志向の違いが出ていて、単に男性と女性の違いが50代以降の生活の中で非常に問題となってくると思います。そのときに一致してればよいのですが、一致しないとどこで折り合いを付けていくのだろうか、というところでズレを見ていただければと思います。
住宅計画のタイプから差が出ています。マンションを購入したいというのが全体で44%ぐらいでしたが、50代女性はマンションを購入希望が55.8%とかなり多く、対して男性は39.2%です[fig.3-01]。そういうところからみても50代の男女で差が結構あります。それから立地も変わってきて、都心志向は両者大体一致しているんですが、女性は都心から30分圏内が多く、男性はそれほどでもない。60分圏内でも女性が7割で、男性だと半分位と差があります。また男性の場合、地方・田舎を希望する割合が女性の倍あり、かなり志向が違ってきていると思います。

fig.3-01[拡大]


暮らし方のイメージと住宅志向の関係をみていくと、男性が女性を上回るところは「緑豊かな自然」という一点に絞られています。それに対して女性は地域イメージや街並み、高齢になっての暮らしやすさや文化施設などの充実など、かなり欲張りなところが見られます。それに対して男性はただ一点「緑豊かな自然」にこだわっています(笑)。住まいに関する価値観で、男性が、女性よりはるかに上回って望んでいるのが庭付きの一戸建てです。それに対して女性はわりとすべてを平均的にほしがっているのですが、特に男性を上回っているのが「オール電化に住みたい」という点と、「価格は安くても最低の設備でもよい」と言わない点です。また女性は住宅のスペックなどに関心が高いのと同時に、住宅の資産価値について気にし、売りやすさを考えるという点に関しても男性よりも関心が高い。女性が住まいに関してあらゆる点に目配せや気配りしているのに対し、男性はあまり資産や設備にこだわりは持っていません。また魅力を感じる暮らし方という点でも、男性と女性の差が出ています。特に男性で高いのは「田園風景のなかでゆったり暮らす」「海や山などの自然の景観に恵まれた土地で暮らす」と、田園風景や自然に憧れがあります。それから「歴史のある郊外の住宅地に住まう」ことも男性が好むところです。それに対して女性は圧倒的に「便利でおしゃれな都心に住む」「山の手の住宅地で暮らす」ことを望んでいて、かなり男性とは違う反応をしています。勝手な見方をさせていただくと、男性は地域コミュニティといった生活の足場を元々持っていなくて、50代になりその後の住まいや自分は何をするかと考えたとき、自然との対話や自然と一体になることを望んでいて、人間やコミュニティとの関係が切れているという感じがします。それに対して女性は人との関係性やコミュニティ、要するに生活が地に付いていて、そのあたりに重きがおかれている。つまり男性と女性の今までの暮らしの歴史や環境の違いでこのような差が現われてくるのだと思います。

fig.3-02[拡大]

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