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FORUM No.05(2007.1.25)

角田誠
住宅産業における3Rの取り組み

SESSION01

建築の新陳代謝と3R

松井剛──角田先生のお話は、そもそも20あるいは60に分けなくてはならないものを使って家をつくること自体がおかしいのではないかということでした。そこにはさまざまな利害関係があり、しかもリサイクルだとかなり時間がかかり、成果として出るのが30、40年後と長い時間がかかる。これはもしかしたら1企業レベルの問題ではなく、政策的な問題かもしれないと思います。この問題は、例えば政策自体はどのように関わっていくべきなのでしょうか。

松井剛氏


角田誠──なかなか難しい問題です。ポイントは30、40年という時間がかかることです。解体の世界では、よく建築を指して「都市の鉱山」と言います。資源がたくさん埋まっている鉱山であるというわけです。むやみに壊してしまうと鉱山をなくすことになり、もったいないので都市の鉱山から資源を取っていこうとします。鉱山の質は時間が経っても変わりません。しかし建築や住宅は時間が経てば使い方も変わるし、技術も変わってくる。そう考えると、その時々で積極的にものが変えられたり、新陳代謝が進むように建築をつくっていくスタンスがよいという気がします。最初からつくるときに100年後を目指してつくることは今までと同じことを繰り返すだけで、ここは10年で変える、ここはあと5年で変えるというに、そのときに変えやすいようにつくり、その後資源として使えるようにつくっておくほうがよいと思います。5年、10年のオーダーであれば、ある程度の予想はつきますが、最初から50年、100年という長いスパンで見てしまうとなかなか判断することはできません。しかし今の住宅産業のあり方やキャッチコピーでは、100年もつ住宅やライフステージが変わったとき、例えば老後を想定したりというように長いスパンで語ってしまう。そういうところにギャップがあるし、限界があるという気がします。使い手と共にものが変わってもよいと思います。
少し質問から離れるかもしれませんが、リユースを取り外せたり、交換ができることと考えると、パソコンもそうです。買ってから2年ぐらい経って、もう少しスピードを上げたいと思うと、マザーボードを外して付け替えられます。そうするとまた使えるようになる。さらに少し大きな画像を扱いたいときにはメモリーを増やすことができます。そういうことができる製品はたくさんあります。しかし建築は、その組み込み方が非常に固定的で、しっかり組み込むことで性能を担保している。きっちり貼り付けないと、例えば遮音性が劣ることになります。そこが非常に難しいところで、他産業の取り組みで参考にすべきことはあるのですが、建築や住宅に置き換えるときには高いハードルがあるというのが実状です。

松井──そうすると、5年や10年で対応できるところから始めるということでしょうか。100年もつという住宅の話を聞いたとき、100年後にはそもそも会社がなくなってしまうと思いました。こういう問題は、マーケットのメカニズムを利用できるところから始めていくほうがよいわけです。そうすると、リサイクルももちろん大事だけれど、リユースやリデュースという、手の届く範囲から始めるよというお考えなのでしょうか。

角田──僕はそういうスタンスです。5年後、10年後は、今とは生活のスタイルは変わっていると思います。そのときに住宅をつくろうとするならば、5年後、10年後に変えられるところは変えていったというほうがよい。SI住宅のように、骨組みは頑丈につくることはあると思います。中身だけを、マザーボードを替えていくように取り替える。そういう区別をしていくことが、住宅産業でも起こってくると思います。

松井──以前、パソコンはモジュールだからモジュールを組み替えればよいけれど、住宅は同じようにはいかないのでパソコンと住宅は違うという話がありました。ただ素人考えではプレハブ住宅はモジュール的だと思いました。だけれどモジュール化されたプレハブ住宅は、実は環境負荷、つまりリデュース・リユース・リサイクルという面でさまざまな問題があるということでした。逆にモジュール化することは、環境対応という点でネガティヴな意味を持つと理解してよろしいのでしょうか。

角田──モジュールの耐用年数によって違ってくると思います。レクチャーで例に出した、現場ハウスが2年ぐらい使ってきれいしてもう一度使われているという話は特殊な例だと思いますが。例えばプレハブ住宅のモジュール化の目的は交換や分離ではなく、生産性の合理化ですから、モジュール化の目的が少し違うという印象を持っています。

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