FORUM No.05(2007.1.25)
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角田誠 |
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SESSION05 質疑応答──解体工事廃棄物の責任をめぐって 会場──江戸時代の住宅の話がありましたが、自然素材の解体はそのままでよいことになるのでしょうか。 角田──自然に近い材料であれば、ほっておいても自然に還るという考え方をすると、そういうことになると思います。同じ木を使うにしても、腐らないように薬剤の注入をし始めた時と、腐ったらその部分だけ変えようという知恵を使った時とでは身体に対する影響などの点で、現代に近いものが危険なものが多いと思います。 会場──一番処理しにくいのが接着剤や合成樹脂です。こういったものが果たして今後、使われたらまずいものとして禁止されたりすることもあるのでしょうか。 角田──ものを壊すときに、人間の健康に与える影響に関して、日本ではほとんど考えてないです。アスベストに対する処置が初めてだといってよいぐらいです。ヨーロッパの解体現場では、壁に塗ってあるペンキには何が入っているか、例えば鉛が入っているから丁寧に壊せということが、全部壁に書いてあります。がれき類の廃棄物は、日本でもやるようにアスファルト道路の下に路盤材として埋め戻されます。ドイツですと、それを敷き詰める所から半径5メートル以内に上水道管があると埋めてはいけないことになっています。不純物が水に入ってしまう可能性があるからです。ゴミを捨てることに対して自分たちに返ってくるという意識が強い。日本はのほほんとやっていて、相当危険なものも使っている。ヨーロッパなどは壊すことに関してすごく丁寧にやっています。しかし日本でもアスベストから火がついていろいろ発展する可能性はあると思います。 会場──解体の話で、私も少し静脈産業に足を突っ込んでいるのですが、そこで必ずぶつかるのが廃掃法(廃棄異物処理法)という法律です。解体業者がきちんとやっているのかというと、私が見ている限りではほとんどグレーです。このままでよいのかと常に思いながらもあまり強く言えないので、そのまま流れていてよいのかと思います。ただ解体工事やリフォーム工事をやるうえで、解体工事で出たゴミは誰が責任をもつのかをきちっとしないとできないのではないと思います。その辺りについて教えていただければと思います。 角田──壊して出たゴミはマニフェスト上は解体業者から出ていくことになります。今言われたように、きちんとやっている業者もいればやっていない業者もいます。どこまで解体現場の管理をしっかりできるかだと思うのですが、現時点ではまだまだ管理できるだけのノウハウを持った人たちがいないことがあります。解体現場で第三者的に管理する人たちが出ないと、最終的なチェックができない。そういう資格ができるかどうかはわかりませんが、そのような動きを考えている人たちもいるという気はしています。私は10年近くこの調査をやっていますが、10年前では解体業者さんに話も聞けませんでした。でも最近は解体業者さんも非常によくなっていて、勉強もしていますし、努力をしています。環境は今ではずいぶん変わってきています。 会場──排出者は誰なのかという点はいかがでしょう。実際工事を請け負うのはリフォーム店、もしくは大きな工事業者で、解体業者さんが請け負っているわけではありません。そうするとゴミが解体業者さんのゴミというのはありえないわけです。 角田──請け負い方でいうとそうなります。建設リサイクル法では工事を請け負った人に責任があります。しかし、当然当事者も排出責任をとるべきだと思います。リフォームをする施主がやはり発端にあって、施主がどういう形態でリフォーム業者に頼み、どういうかたちで解体業者に行くのか、そこまで遡らないと、資源循環型形成基本法の排出者責任までいきません。
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