Renovation Archives [005] 田中陽明+長岡勉 ●メンバー制アトリエ[オフィス] |
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概要/SUMMARY |
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設計概要 ●用途=共同オフィス&工房 ●構造規模=地上25階 地下2階 ●主体構造=RC造 ●面積規模=約800平米+バルコニー300平米 ●テナント人数=52人(平成16年9月13日現在) ●建築年月日=1973年6月 ●リノベーション年月日=2003年4月 ●企画・運営=田中陽明+長岡勉 ●改装設計=長岡勉+田中陽明+中村優 ●事業者=森ビル文化事業部 |
■森ビル株式会社が主催する講座のひとつ、AADスタジオに併設されるかたちで2003年5月にクリエイターのためのコラボレーション誘発型メンバー制アトリエがオープンした。30年前に建てられた25階建て、延床約4万平米の大きなオフィスの2階に位置している。co-labは森ビルの管轄下で、インキュベート機能をもった個人事業者用のワークプレースの実証実験でもある。既存のハードにはほとんど手を加えず、ソフトのゆるい仕組みをどのようにつくり上げていくかがテーマである。「建物の『ハコ』だけでは活動は定義しきれない」と長岡勉氏(建築家、point代表)は考えている。 現在50名程のあらゆるジャンルのクリエイターから構成されていて、メンバーシップは2m四方のブースを持つレジデンスとブースを持たず共有スペースのみを利用するノンレジデンスからなる。オープンな環境でお互いの作業が垣間見え、自然とコミュニケーションが発生する。契約は半年毎に更新される。 田中陽明氏(建築家/メディアアーティスト、flow共同主宰)はco-labをOSのようなものとして捉えている。その中で動くクリエイターたちはアプリケーションのような存在で、OSを長時間維持しておくだけで様々な現象が自律的に発生してくるという仕組みである。小さな会社の集まりであるようなクリエイターたちが、プロジェクトごとにチームを再編して仕事を請け負うということになると、これは新たなネットワーク型の会社のシステムにも繋がる。co-labでは仕事環境は共有しているけれど、ゆるい連帯感をもってコミュニケーションがとれる環境を目指している。 co-labのもうひとつの特徴が、設計者が管理運営も行なっていることである。従来の建築家の職域を超え、空間で起きるアクティヴィティをファシリテートしながら随時空間を更新していくことこそ、ソフトのリノベーションといったリノベーションの本質へと結びつくことなのかもしれない。 時代の変化に鋭敏なクリエイターたちが、都心でco-lab的な場所を確保し情報を発信していくことは、都市の中のファシリテーションとしての機能であり、やがてその活動域の拡大は都市の仕組みに変化をもたらす可能性を秘めている。 |
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エレベータホールを降りると正面にco-labのサインが目に飛び込む |
竣工/COMPLETION | |||
レジデンス 2m四方のブースで分けられている。間仕切りはオリジナル。現在約50のブースはすべてうまっている。ここでは様々なジャンルのクリエイターが多彩な活動を行なっている。オープンな環境によりコミュニケーションを円滑に進む |
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一般作業スペース 大人数グループワークを可能とする。レイアウトは使用する人の要望により変更することもある |
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左:模型製作スペース 右:共用PC メンバーは自由に使用することができる。利用者は多い |
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左:ドローイングスペース 右:ドローイングギャラリースペース |
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右:プレゼンテーションルーム 左:廊下部分 奥が作業所、左手がプレゼンテーションルーム。廊下にはいくつかミーティングスペースが設けられていて、来訪者とのスムーズな打ち合わせが可能である |